第1話:「私たちは間違える」~フレーミング効果~
第1話では、行動経済学から「私達は間違える」というお話です。
フレーミング効果
想像してみてくださいね。あなたに、重い病気が見つかったとします。治すために、医師から2種類の手術の説明を受けました。
どちらの手術を受けたいですか?
・・・
・・・
実は、冷静に考えるとこの2つの手術は同じことを言っています。 死亡者数を伝えるか、生存者数を伝えるかの違いだけですよね?
しかし、直感で答えると、圧倒的にBを選ぶ人が多くなります!
A)だと「死亡」という文字に釘づけになり、不安になってしまいますが、
B)だと「生存」の文字になんとなく安心してしまいますよね。
このように
情報の見せ方ひとつで人の判断が変わることを「フレーミング効果」と言います。
同じ絵でも、額縁を変えるだけで全く印象が変わりませんか?
何かを購入する時、あなたは全て自分の意思で全て決めていると思っていても、知らぬ間にフレーミング効果を受けています。
なぜなら、売り手側は消費者側より圧倒的に多くの情報を持っていますし
「どうやったらこの商品を気に入って、購入してもらえるか?」を研究して見せ方を工夫しているからです。
もう一つ別の例を出しましょう。
2人の保険営業の方が、同じ保険に入っている同じ人に対して、全く別の説明をしていました。
営業A)
「解約して新しい商品に切り替えた方がいいですよ! 内容が古くていざという時に役に立たないので、皆さん切り替えているのです。」
営業B)
「解約せずこのまま続けられた方がメリットがありますよ! 不足している保障は月100円で今の保険に中途付加できますから大丈夫です。」
どうでしょうか。
これは実際にあった話なのですが、
営業Aには、保険の新規契約を獲得して販売手数料を得たいという意図があり、営業Bには、お客様にとって一番メリットがある方法を案内するという意図があったため、説明の仕方が異なっていたのです。
金融商品は「カタチ」として目で見たり触ったりできるモノが一切ないので、
セールスによるフレーミング効果も加わるとどのようにも判断基準が変わってしまいます。
そのことによる本人の意図していなかった経済的損失は、大げさではなく1千万円以上にのぼることもあります。
「あの時、自分にお金の知識があったなら、選んでいなかったのに!」
という行動から生じた
月々3万円の差も、30年間続けば、1,080万円 の差となっていくのです。
まずはこのことを覚えておいてくださいね。