第2話:あなたはFPにお金のこと相談して「売られたいですか?教わりたいですか?」~利益相反~
保険の販売を行わないことを選びました。
私は、生命保険の業務経験が15年あります。
保険営業は、3年以内の離職率が8割と言われていますが、私自身は、お客様とお話をするのが楽しくて気がつけば15年。
~結婚・出産・進学・就職・退職・入院・介護~
人生の様々な出来事にも数えきれない程、携わらせていただきました。
代理店経営をしておりましたので、保険金の給付手続きはもちろん、
長年身を置いた人にしか分からない保険業界の、表も裏も、そして社会的役割もよく知っています。
そんな私でしたが、ファイナンシャル・プランナーの勉強を始めてから目からウロコが落ちる経験をしてしまいます。
これまで、「保険でなければ、お客様の人生をお守りできない!」と思い込んでいたのですが、
◆お客様のご状況によっては、保険に入らない方が良いケースもある。
◆保険だけしか見ていなかったら、家計の他のバランスが悪化してしまうことがある。
ということに気がついてしまったのです。
そもそも、「ライフプランを作成した上で、世の中のあらゆる手段の中から保険が必要だ!と判断したから保険の話をしている。」
というのならわかるけれど、
「お客様の貯蓄額や家計も知らないのに、紋切り型に、保険は必要だと伝えているのは、FPとしておかしくない?」と気づいたのです。
この事実に直面してからというもの私の中で葛藤の日々が始まりました。
自分の本当にやりたいことは100%お客様側に立つことだったので、そのことを自問し、どうにかしてこれまで築いてきた保険代理店を続けながら中立公正なFPとして働ける方法はないかと模索しましたが…。
やがて私は「両方の立場でいるのは不可能!」という結論に達します。
どんなにお客様への誠意があろうとも、
中立公正であると振る舞いながら、金融商品販売にも回るというのでは、
「利益相反(りえきそうはん)」問題を否定できなかったからです。
金融商品の取引において、
「利益相反」というのは、「売り手の利益と買い手の利益が対立してしまう」という現象です。
少し難しい言葉ですが、大事な内容なのでついてきてくださいね。
金融商品の販売業務というのは、本質的に手数料収益で成り立っています。
お客様の相談にのっているだけでは、1円も売り上げになりません。
最終的なゴールは商品を購入してもらうことであり、金融機関にしてみれば、販売手数料が高いほど利益につながります。
一方、お客様にしてみればどうでしょうか?
まったく同じ品質とサービスの金融商品であれば、金融機関へ支払われる手数料が少ないほど負担する金額が少なく済むのです。
向かい合ってシーソーの反対側に座っているような情景をイメージしてみてください。
お客様がシーソーの下になることで、金融機関がシーソーの上になれる場面が、どうしてもあるのです。
金融商品を販売しながらFPを名乗っている人の中には、お客様と向かい合ってシーソーの反対側に座り
「自分は常にバランスを取って空中で止まっていますから、大丈夫ですよ!」という方がいるかもしれません。
けれど、そういう器用なことは私にはできないと感じたので、保険業界からはすっぱりと身を引くことに決めました。
「金融商品を正確に判断できる力、自分にあった選択ができる力」を授けることができます。
こうして私は、金融機関としがらみがない完全に独立したポジションに立ちました。
どんな時でも「あなたの利益の最大化のためだけに、全力を尽くせる!」のは、本当に嬉しいことです。
私にとっては、あなたが金融商品を購入しても購入しなくても、どちらでもかまいません。
あなたが、「長期的に継続する理想未来」を実現していることだけを考えて、あなたと共にいるからです。
あなたには、お金まわりのことで心配なことや気になっていることはありませんか?
何かを人に相談する時には、その人が抱えている職業上の立場というものを冷静に考えることは必要です。
そして無料相談の場合には、「この方はいったい何で利益を上げているのか?」を考えてみることも、かしこい消費者として心に留めておいてくださいね。