水と安全と情報はタダ?
先日、約20年以上前に書かれた本を読んでいて、ある言葉が目に留まりました。
【日本人は、水と安全はタダだと思っている。
だが最近、ようやく水も安全もタダではないということに気づき始めてきた。】
これまでにない斬新的な意見として、この言葉が述べられていたからです。
今聞くと、皆さんも「水も安全もタダではないよなぁ」と、すんなり入ってくるのではないでしょうか?
しかし、思い出してみると…。
私が子供の頃は、お金を出してペットボトルの水を買うなんて考えられませんでした!
蛇口を開けば水は出てくるのに、ジューズやお茶を買うのならわかるけど、なんでわざわざ水を買うの?と、価値が全くわかりませんでした。
安全もそうです。
私が子供の頃は、日中、家に人がいる間は玄関の鍵はかけていませんでした!
家族全員で出かける時と、夜だけ鍵をかけていました。夏の夜は一晩中窓を開けて寝ていたものです。
けれど、今の私は
費用をかけて従来の鍵から空き巣に破られにくい鍵へ交換し、子供の安全のためには、有料の見守りサービスも契約しています。防犯への投資は、必要不可欠な投資だと考えているからです。
昔の常識と今の常識は、こんなにも違う…。
そのことに気づいた私は、
情報はタダではない
ということも、近い将来、日本人の間で当たり前の認識になってくるだろうと確信しました。
私のところへ相談にいらして下さるお客様達は、
「情報はネットでもSNSでも簡単に無料で手に入るけれど、どれが本当なのか信用できない。
自分にとって、価値ある情報を得るためには、お金を払ってプロに相談する方が断然いいと思った。」
とおっしゃっています。
「お金の相談にお金を払うなんて、お金がもったいない。」と考える人がまだまだ多い日本社会において、
有料でご相談にいらして下さるお客様達は、先見の明を持たれたすごい方たちなのです。
無責任な保険の相談
私は保険の仕事をしていた時に、「またか」と失望することが度々ありました。
それは、保険業界は、お客様にデタラメなことを言う営業の方の割合が相対的に高いということです。
どんなデタラメかと言うと
例えば
- 「あなたが今加入しておられる保険商品だと、○○の時には何も役に立ちませんよ。」と、本当はしっかりと対象になるのに、知識のなさからなのか、間違えたことを堂々とお客様に言ったり
- 「この保険に変えれば、今とほとんど変わらない掛金で、もっと保障がよくなるんですよ。」と、保険の切り替えをすることによって、明らかに保障が小さくなるのに、お客様に複雑な資料を見せながら言ったりするのです。
信じられないかもしれませんが、煙に巻くような説明が普通にあります。
販売したい保険商品の説明は間違えなくとも、お客様が既に加入されている保険について等は、よく調べもせずに適当な発言をするのです。
歪曲した説明を鵜呑みにした結果、
とても条件のよい保険を解約してしまったり、自分に不利になる切り替えをしているお客様が後を絶たない現実は、多すぎて数えきれませんが、お客様も理解されておらず、疑問さえも持たれていないので、迷宮入りな感じです。
この現象は、同じ保険会社内でも、複数の保険会社の商品を扱う乗合代理店内でも、散見されています。
保険業界は、新契約を獲得できなければ、今後の自分の収入が減る!という立場で働いている営業の方が多いのが特徴です。
「新しい保険に契約してもらうことが、目の前のお客様にとって最善なんだ。」と心の底から信じ切ることができなければ、次々に保険を販売できないため、事実が歪んで見えるようになってしまうのでしょうか!?
私は、保険営業の方の利益になる以外、切り替える必要も加入する必要もない保険手続きをお客様がされてきた痕跡に遭遇しては、やりきれない気持ちになってきましたが
お客様も、「書類を見てもよくわからない」と堂々と保険営業の方に公言していることが多く、そもそも判断するための知識を持ち合わせていないので、こういうことが普通に成り立つのだと思います。
なんだか
ここまでの文章を読んで頂くと
保険営業の人ってホント嫌だ!
と皆さんに思わせてしまったかもしれませんが、私が伝えたい点は、実はそういうことではありません。
このようなことが横行しがちな保険業界の中で
ゆるぎない信念を持ち、顧客第一で誠実に仕事をしている保険営業の人が、ちゃんと存在しているのです。
たとえ販売件数で表彰されなくとも、自分の利益よりもお客様の利益ことを考えて、働いている人達です。
けれど、お客様というのは、そういう顧客本位の保険営業の方が
水面下では自分自身の利益を投げ打って、お客様のためだけを思った提案をしている
ということまでは理解しておられません。
いい保険担当の方だ、ということは、理解されていらっしゃいますけれど。
私は、もういい加減、「保険担当の人がいないと、加入している保険の意味が全くわからない」と皆が平然と公言するような時代は卒業して
お客様自身が、自分を見つめて、自分自身で必要な保障を選ぶ時代に完全移行してくれてもいいのでは、と本気で思っています。
そのためには、お客様は保険について正しい知識を身につけていく必要があります。
お客様というのは、自分で決めて契約したと思っていても、知識量の不足から、
保険営業の方のよく構成された惹き込まれるトークによって、知らないうちに手のひらで転がされるように、感情で契約してしまっていることが多いからです。
本来、保険というのは、そのように加入するものではありません。
自分のライフプランを最初に据えて、その実現のために
もし、保険という手段が必要だったら、最低限のものだけ入る
というのが、本来の正しい方法なのですから。
保険ではなくて、預貯金や他の方法ではだめなのか?
という検証も必要ですし、今後の家計収支予測も視野に入れなければなりません。
ネットで保険不要論を読んだからと言って、自分の場合にそっくり当てはまるとも限りませんし、加入しない場合はリスクを正確に理解しておく必要があります。
最終的に、自己責任の時代なのです。
ですから、一人で考えて究極の判断を誤らないためにも、自分の立場になって一緒に考えてくれる
ファイナンシャル・プランナーへ有料相談は、今後はますます価値のある投資になるでしょう。
何十年間もわからなかった保険のことであれば、2時間やそこらで全てを理解することはできませんが、スポンジが水を吸うように、必ず自分自身で判断ができるようになれますよ。
お金のことは、ずっと学び続けていかなければならない時代の到来です
少子高齢化、人生100年時代を迎えている日本では、
- 定年まで働いていれば、会社が老後の生活に困らない退職金を用意してくれる
- 真面目に暮らしていれば、国が老後生活に困らない年金を用意してくれる
という時代は終わりました。
お金のことは、人任せにせず、しっかり学ばなければ、本当に、自分自身が困る時代なのです。
ライフスタイルや個人の価値観も昔と違い、ずいぶんと多様化しています。
モデルケースが通用せず、皆が、自分らしく生きる幸せに気づき始めています。
時を経て
水と安全がタダではないということが、当たり前になったように
情報もタダではないということに、日本人も気づき始めています。
あなたはいかがでしょうか?